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Y2K問題再び!? レガシーシステムを混乱させる「昭和100年問題(2025年問題)」とは?

         

みなさん、2025年は何の年でしょうか?

大阪万博が開催される予定の年、と答える方は多いでしょう。また、DXに造詣の深い方ならば「2025年の崖」というフレーズが思い浮かぶかもしれません。

しかし、今回取り上げたいのは2025年が「昭和100年」だということです。そしてそれは「昭和100年問題(2025年問題)」を引き起こす可能性が指摘されています。

本記事では、昭和100年問題とは何かについてY2K問題も取り上げて解説し、今後どんな問題があるのかについてもご紹介します。

「昭和100年問題(2025年問題)」は“「年」の情報を昭和換算・2桁で処理している古いシステムが誤作動を起こすことへの懸念”

昭和100年問題(2025年問題)とは、昭和元年(1926年)から数えて100年目に到達する2025年、「年」の情報を昭和換算・2桁で処理している古いシステムが誤作動を起こすことへの懸念を指します。

2桁までしか処理できないシステムが3桁目を迎えたとき、3桁目の数字(1)は切り捨てられ「00」となります。すなわち、1926年からの積み上げで運用されていたシステムに齟齬が生じることで、下記のような問題が引き起こされることが予想されるのです。

・エラーによるシステム停止
・年数を基準にした印字や帳票処理のミス
・データ処理・保存の規則の混乱

このような事態を前にして、多くの方々は「Y2K問題(2000年問題)」を想起されるかもしれません。西暦2000年に達することで、19XX年の下二桁(XX)だけを使用するシステムに齟齬が生じることが懸念され、大きくニュースでも取りざたされたY2K問題。

結果として予想された最悪の事態(システムの大規模ストップ、インフラの停止、公共交通機関の事故)などは生じなかったものの、たとえば電気事業連合会からは13件のY2K問題に起因する不具合の発生(電気設備の運転に影響を与えない)が2000年1月21日に報告されています。また、応急処置的な対応(UNIX時間の基点が1970年1月1日午前0時であることを利用して、時間枠を2020年まで広げる処理)のツケを2020年になってから払うことになった企業も存在するようです。

また、2019年ごろには「平成→令和」への改元対応に多くの情シス担当者が追われることとなりました。システム間連携が複雑化した現代では、連携先も含め思わぬ不具合や対応漏れが生じる可能性が高まっています。

これまで対応を先送りにしてきた企業はもちろん、そうでない企業も今一度調査を実施し、万全の体制を整えましょう。

まだまだある!XX年問題まとめ

そもそも昭和100年問題が生まれるのは、メモリの制約や技術の限界など時代ごとの条件に応じて、数十年後には問題が発生するとわかったうえでシステムを構築せざるを得ない状況があるからです。
そのため、2025年以降も、さまざまな「XX年問題」が懸念されています。

2027年問題

主要なERP(統合基幹業務システム)の一つである『SAP ERP 6.0』が2027年末に保守期限を迎える問題です。保守期限の延長や、最新版への移行などの対応が求められます。

2036年問題

コンピューターの時刻を同期するために用いられている「NTP(Network Time Protocol)」が数えられる時刻の限界を迎える問題です。32bit→64bitへのシステム改修や時刻起算点の変更といった対応が求められます。

2038年問題

前述のUNIX時間が数えられる時刻の限界を迎える問題です。2036年問題と同様、OSの移行や時刻起算点の変更による対応が求められます。

西暦10000年問題

西暦10000年にコンピューターが扱う年数の桁数が4桁→5桁になることでシステムに不具合が生じる問題です。途方もない未来の話であり、ほぼジョークのネタですが、年数を基準にしたシステムはいずれ限界を迎えるという構造は同じという点では示唆的です。

昭和100年問題を機にレガシーシステムの見直しを

そもそも昭和100年問題が生じるのは、昭和期につくられたシステムがいまだに現役で活用されているからです。冒頭で触れた「2025年の崖」も、日本のレガシーシステム(何十年も前に導入された旧型のシステム)刷新が遅れることで、企業の国際競争力が低下し毎年最大12兆円とも試算される損失が生じる問題を指します。

『DX白書2023』(IPA)によると、日本企業の28.2%が「一部領域にレガシーシステムが残っている」、19.2%が「半分程度がレガシーシステムである」、22.0%が「ほとんどがレガシーシステムである」と回答している状態であり、まだまだレガシーシステムに依存する企業がほとんどを占めることがわかります(調査は2022年度に実施)。


引用元:『DX白書2023』(IPA)

レガシーシステムの見直しとマイグレーションを検討するにあたって、XX年問題への対応はちょうどいいきっかけとなるのではないでしょうか。

終わりに

タイムリミットまであと1年を切った昭和100年問題(2025年問題)について解説いたしました。2000年代も四半世紀が経過することになるこの年は、情報システムやDXにとってもエポックなタイミングとなることが予想されます。昭和100年問題への対応を進め、万全の体制で次のフェーズに進みましょう。

(宮田文机)

 

参照元

・コンピュータ西暦2000年問題の対応結果について┃電気事業連合会・20年前の「2000年問題」の影響が時間を超えて各所で起こっているとの報告┃Gigazine・2020年によみがえった「2000年問題」、次にくるのは18年後?:546th Lap┃キーマンズネット・伊藤 有/Tamotsu Ito『“新元号対応セミナー”で聞いた情シス担当の苦悩「7年間、未更新のMS Office」「8000台のPCが……」』┃BUSINESS INSIDER・組込み機器開発における2038年問題への対応事例┃デジタルプラクティス Vol.10 No.3(July 2019)・『DX白書2023』(IPA)

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