ベルリンxビールの記事に登場したルームメートのヨハン(引っ越してしまったので今は元ルームメート)が、あるスタートアップで働き始めたときのことです。
どんな仕事なの、と聞くと「インフルエンサー・マーケティング・プロモーション」とのこと。
それに対して「はあ?」と聞き返すアナログ世代の筆者に、デジタルネイティブ世代のヨハンが噛み砕いて説明してくれます。
「SNSで活躍するインフルエンサーと、SNSマーケティングを強化したい企業をマッチングするサービスを提供する会社で、企業側にインサイドセールスをかける仕事なんだ」と。
うーん、なお分からん。手を替え品を替え説明してもらい、ようやく理解したところによると、つまりは自社製品の電話営業ね。初めからそう言ってくれればいいのに。
ちなみにヨハンのお祖母ちゃんの反応は、「病院に勤めるのかい?」。お祖母ちゃんインフルエンザじゃないよ、とお決まりのツッコミが入ったそうです。
インサイドセールスは、従来型のフィールドセールスを電話で行うものです。そのふたつにはどのような違いがあるのでしょうか。
実際に企業に赴くフィールドセールスは、足を使って稼ぐいわゆる従来型の営業スタイルです。相手方に好印象を残せれば大きな強みになりますが、人材・時間的な負担が大きく、効率が悪いという問題点があります。
インサイドセールスの発祥国はアメリカ。そこは西海岸から東海岸まで飛行機で5-6時間かかってしまう広大な国。フィールドセールスでは限界があります。そのため電話一本でできるインサイドセールスが盛んになりました。
しかし顔の見えないインサイドセールスのみで、大規模な案件にサインするのはためらわれるのが人情。そこでインサイドセールスとフィールドセールスを組み合わせ、効率良く大きな商談を成立させるのがトレンドです。
このタイプのインサイドセールスは「フィールドセールス協業型」と呼ばれ、
インサイドセールスをかける
↓
強く手応えを感じたリード(見込み顧客)をフィールドセールス担当に回す
↓
フィールドセールス担当が実際にリードの元に出向く
という形態で役割分担を図ります。この手法だと、フィールドセールスに多大な人材や時間を投入せずとも、すでに手応えのあるリードにピンポイントで攻勢をかけることができます。
インサイドセールスには他にも以下のようなタイプがあります。
・リード発掘型 — いわゆるテレアポのように、ある程度ランダムなリストに基づいて電話営業をかけ、興味を持ってくれるリードを探す。
・リード育成型 — 事前リサーチなどに基づいてある程度絞られたターゲットに電話営業をかけ、相手が抱える細かなニーズや課題を聞き出し、商談前の戦略を練る。
・営業クローズ特化型 — すでに検討段階に入っているリードに対して製品や条件の説明を行い、インサイドセールスのみでクロージング(受注)まで持ち込む。
フィールドセールスと比較した際、インサイドセールスにはどのようなメリットがあるでしょうか?インサイドセールスのメリットを見てみましょう。
フィールドセールス、特に飛び込み営業は精神的なタフさが要求されるため、多くの人に敬遠される仕事です。
製品やターゲット企業によっては若年層や女性、シニア層が売り込みをかけた方がいい場合もあります。こうした属性のワーカーはフィールドセールスを敬遠しがちですが、インサイドセールスであれば無理なく成果を上げることができます。
また、リモートワークや時短勤務などの多様な働き方にも向いている業務内容だと言えます。
フィールドセールスだと1日に4-5件が精一杯なところ、インサイドセールスだと20件も30件も売り込みをかけることができます。
またリードにとっても、忙しい最中に突然飛び込み営業に来られたり、興味のない製品への応対を対面で強いられるより、まずは電話で話す方が効率的でしょう。
現段階では見込み薄なリードがいるとします。こうしたリードに頻繁にフィールドセールスをかけるのは、自社にもリードにも負担が大きいでしょう。しかしインサイドセールスであれば、電話だけでリードとのコネクションを保ちつつ、ヒアリングを通して風向きの変化を探ることができます。
様々なメリットのあるインサイドセールスを導入したいと考えたとき、重要なポイントは4つあります。
1. 適切なチームメンバーの選定。チーム立ち上げ時には、新部門だからと言って他部門から見下されないように、営業部門トップクラスの人材をアサインするなどして強力なチームを作り上げる必要があります。
2. フィールドセールスとの役割分担の明確化。リード獲得に当たっての二度手間やバッティングを防ぐため、業務内容をしっかり線引きします。
3. リードの重複確認。同一のリードが別ルートで何度も登録されてしまうと、重複してインサイドセールスを行ってしまうといった時間とコストのロスに繋がります。随時リードの重複確認をすることが大切です。
4. チームメンバーのトレーニング。ある程度業務の流れが見えてきたら、リーダーが課題をピックアップしてチームメンバーをトレーニングします。その過程をマニュアル化して新メンバー育成に役立てます。
もちろん製品によってインサイドセールスへの向き不向きはありますが、現在の営業手法に限界を感じているのであれば、戦略に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参照リンク: インサイドセールスとは?これからの新しい営業の形
(佐藤ちひろ)
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