データサイエンティストは、これからの時代に必要性が増していくだろうと言われており、人材不足が懸念されている職業です。人材不足を補うため、そしてより優秀な人材を育成するために、日本各地の大学にデータサイエンス学科が設置されたり、オンラインで学べる環境も整い始めています。
アメリカではデータサイエンティストは、最もセクシーな職業である、と言われたり、最もニーズが高い仕事である、と言われていて、大学でのデータサイエンティストの育成にも意欲的です。例えば、カリフォルニア大学バークレー校が無料で受講できるデータサイエンスのオンラインコースを発表しており、注目を集めています。
また、修士課程のオンラインコースも受講可能となりつつあります。
例えば、Noodle Partnersはヴァージニア大学(University of Virginia:UVA)Data Science Instituteとのパートナーシップを発表し、修士課程 “Master of Science in Data Science”が、2019年夏より完全にオンラインで提供開始されることになっています。オンラインコースでは、オンラインならではの学びやすさを考えられており、入学時期を年3回に設定しています。
同大学では現在の通学制データサイエンス専攻のカリキュラムをオンラインに移行していて、通学制と同等の内容が受講可能となります。機械学習、データマイニング、データサイエンスのための統計的計算、データサイエンスの倫理といった科目や、実践的な企業課題を扱う授業なども受講可能となっています。
データサイエンティストのニーズは今後も高まると予想されていて、育成環境もより充実していきそうです。
それでは、日本のデータサイエンティスト教育の状況はどうでしょうか?
2017年、滋賀大学で日本初となるデータサイエンス学部が発足しました。その後、2018年に横浜市立大学に、そして2019年には武蔵野大学にデータサイエンス学部が設立されました。
滋賀大学では2019年4月に日本初となる大学院データサイエンス研究科も設立されました。また、元大阪ガスのデータサイエンティストとして有名な河本薫教授が滋賀大に移籍したことも話題になりました。滋賀大学ではデータサイエンスセミナーが2016年4月から定期的に行われていて、2019年5月時点で58回開催されています。
どんなことば学べるのか、どういった資格が取れるのかなどを滋賀大学を一例に見ていきます。
滋賀大学のデータサイエンス学部では、文理融合型カリキュラムとなっており、理系だけではなくデータの背景を知るためにも文系の内容も学んでいきます。
具体的な受講内容は、
などがあります。
データサイエンス実践論では、マーケティング論からファイナンス論、倫理分析論、ビジネスエコノミクス論など経営学も学んでくこととなります。
情報科学概論ではプログラミングを学び、情報ネットワークや情報セキュリティについても学んでいきます。
基礎データ管理では統計数学、回帰分析などを学び、統計学を学んでいきます。
カリキュラムの中から自分にあった授業を選び
どの分野のエキスパートに進んでいくかを決めていきます。
提携企業も多くあり、実際にあるデータを用いた演習もあり、実践レベルの授業ができるのは社会人として働く前の大きなアドバンテージになることでしょう。
データサイエンス学部では、
などの資格が取得できるようにカリキュラムが組まれています。
データサイエンスは海外でも注目されていることもあり、留学制度もありますので、留学研修制度を設けています。
データサイエンス関連の論文の解読も必須となるため、英語の授業にも力を注いでいます。
理論だけではなく、データを使った問題解決能力はどの場所でも活躍するであろうと言われていて、次のような業種への進路が予想されています。
データの時代と呼ばれる次の世代の中心的な人材になることは間違いありません。
近い将来データサイエンス学部が新設されるであろう大学も実は多数あります。
平成30年度「超スマート社会の実現に向けたデータサイエンティスト育成事業」申請状況によると、国立大学47校、公立大学では11校、私立大学では14校が申請中だそうです。
国立大学では
などが申請しています。
公立大学では
が申請をしています。
また私立大学でも、
が申請をしています。
また、立教大学では、日本国内ではデータサイエンス・人工知能に携わる人材が大きく不足している状況に対して、データサイエンス、並びに人工知能を極めた人材を輩出することを目的とし、AIに特化した大学院人工知能科学研究科を2020年4月に新設することを発表しました。また大阪大学でも幅広い分野に最先端のAI技術を身につけた人材を養成する講座として「実データで学ぶ人工知能講座」を8月から始めると発表しました。
超スマート社会の実現に向けてデータサイエンスが学べる環境は整いつつあります。しかし、ビジネスの現場で役に立つにはやはりビジネスの知識は不可欠であり、データサイエンスのみを学んだだけではデータサイエンティストとしては不十分である、という現実もあります。
ビジネス課題に取り組めるデータサイエンティストの育成は今後も国全体が力を入れていく分野でしょう。データのじかんでは今後も日本のデータサイエンティスト教育の動向に注目しきます。
(桑折和宗)
メルマガ登録をしていただくと、記事やイベントなどの最新情報をお届けいたします。
30秒で理解!インフォグラフィックや動画で解説!フォローして『1日1記事』インプットしよう!