世界で大きな課題となっているプラスチックごみ問題。2018年時点で年間のプラスチックごみ発生量は3億200万トン、被害総額は130億ドル(約1兆4千億円)と報告されており、このままではその数値はどんどん増えていくことが予想されます。世界の一人ひとりが当事者として取り組むべき問題だといえるでしょう。
しかし、残念ながら日本のプラスチックごみ対策は遅れています。その実情と世界の動向、日本が今着手していることについて押さえておきましょう。
データの力がプラスチックごみ対策に役立っている現場もあります。現状を把握することで今日からプラスチックごみを見る目がちょっと変わるかもしれません。
序文を読んで「日本のプラスチックリサイクルは世界でも進んでいるんじゃないの? リサイクル率が高いと聞いたけど……」と困惑した方もいるかもしれません。
確かに日本のプラスチックリサイクル率(有効利用率)は2017年時点で86%と非常に高い数値を記録しています。しかし、その内訳に注目してみてください。
出典:プラスチックリサイクルの基礎知識2019┃一般社団法人プラスチック循環利用協会
上図の通り、マテリアルリサイクル(23%)、ケミカルリサイクル(4%)、サーマルリサイクル(58%)と3種類のリサイクル手法のうちサーマルリサイクルが大半を占めることがわかります。
サーマルリサイクルとは、“プラスチックごみを燃やした際に得られる熱エネルギーを回収するリサイクル”のこと。ごみから固形燃料を製造する、そのままゴミを燃やして発電するなどの方法があります。
燃えやすいプラスチックごみをエネルギーに変えられるという点でサーマルリサイクルにも一定の意義はありますが、欧米基準ではサーマルリサイクル(ENERGY RECOVERY)はリサイクルに含まれません。欧米ではプラスチックごみをそのままプラスチック製品へ生まれ変わらせるマテリアルリサイクル、化学分解したあとプラスチック製品へ生まれ変わらせるケミカルリサイクルだけをリサイクルと呼び、サーマルリサイクルは「熱回収」「エネルギー回収」としてリサイクルとは別個に扱われます。
同様に、OECDが2013年に調査した各国のリサイクル率の統計においてサーマルリサイクルは「焼却とエネルギー回収」としてリサイクルの範疇に含まれていません。同統計において日本のリサイクル率は19%でOECD加盟国34カ国中27位タイと他国に対して大きく後れをとっているのです。
出典:OECD加盟34ヵ国、一般廃棄物の処理とリサイクル率(2013年)┃東京23区のごみ問題を考える
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