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現在は第四次産業革命(インダストリー4.0)のまっただ中。
国・企業を挙げてIoTやビッグデータ、AIなどが普及した新しい産業構造へのアップデートを試みています。そんな中で「第一次~第三次産業革命はどんな内容だったんだっけ……?」と歴史を振り返りたくなった方も少なくないのでは?また、第四次産業革命の次フェーズ、第五次産業革命もすでに萌芽していることをご存知でしょうか? 過去と未来を両方見据えることで、現在向かうべき道筋が見えてきます。
この記事では第一次~第四次までの産業革命の歴史をおさらいし、第五次産業革命の概要をお伝えします。ぜひこれから進むべき道の手がかりとしてご活用ください。
まずは以下の表をご覧ください。現在(第四次産業革命)までの産業革命の要点をまとめています。
時期 | 変化を一言でいうと | |
---|---|---|
第一次産業革命 | 18世紀 | 石炭燃料を用いた軽工業の機械化 |
第二次産業革命 | 19世紀半ば ~20世紀初頭 | 石油燃料を用いた重工業の機械化・大量生産化 |
第三次産業革命 | 1970年代初頭 | 機械による単純作業の自動化 |
第四次産業革命 | 2010年代~ | 機械による知的活動の自動化・個別生産化 |
産業革命の歩みは「人間の仕事が機械に代替されていく歴史」といえるでしょう。時期を見れば、そのスピードがどんどん加速していることがわかりますね。
ここからは、より細かくそれぞれの産業革命の原因や世の中に与えた影響について見ていきましょう。
第一次産業革命は一言でいうと軽工業の機械化です。
それは18世紀後半のイギリスで起こりました。当時のイギリスはインド・中国(清)との三角貿易から莫大な利益を得ていました。イギリスの主な輸出品は植民地から輸入した綿花を加工した綿織物です。巨額の資産と効率化へのニーズが軽工業における技術革新の追い風となりました。
そうして登場したのが織機と紡績機です。ジョン・ケイが「飛び杼(とびひ)」を発明したことで機織りの効率が高まり、ジェニー紡績機・水力紡績機・ミュール紡績機などの登場で糸を紡ぐスピードも飛躍的に早まりました。そして18世紀半ばにはワットによる蒸気機関の改良が。石炭を動力とする力織機により綿織物を自動製造出来るようになるとともに、鉄道や蒸気船が生み出されました。
第二次産業革命で機械化されるのは製鉄業や造船業のような重工業です。
また主な舞台はイギリスからドイツやアメリカへ、エネルギーの主役は石炭から電力・石油へ移り変わります。
1879年にエジソンが白熱電球を実用化。電気を普及させるべく、1882年に世界初の発電所をニューヨークのパールストリートで操業開始しました。エジソンの白熱電球・電力システムは1880年代にかけて世界に普及します。さらにニコラ・テスラとの電流戦争が巻き起こり、電力の供給が産業を活性化させていきます。また1876年のベルによる電話の発明など、電気による通信技術が生まれたのもこの時期です。
石油をエネルギー源とする内燃機関を発明したのはニコラウス・オットー。1877年のことでした。ダイムラーがその技術を受け継ぎ特許を取得。蒸気機関よりも熱効率が高く小型化しやすい内燃機関は工業機械のイノベーションを推し進め自動車や航空機の発明を可能にしました。
よりパワフルな動力の普及により、製造業の大量生産化は大きく進み、資本家は莫大な富を得られるようになりました。
日本の産業革命が起こり、製造業全般の近代化が急速に進んだのもこの時期です。
第三次産業革命はコンピューターの登場によるイノベーションです。複雑な計算処理を行うことが出来るコンピューターは「単純作業の自動化」を実現しました。1946年に米国で生まれた真空管式のコンピューターが発展し、ものづくりの現場に普及しだしたのが1970年代のこと。人間が介在しなくても単純作業をロボットが代替してくれるようになったのです。
例えば第三次産業革命により産業用ロボットは運搬・溶接・検査といった人間の作業の代替が可能になりました。
第三次産業革命は定義がはっきりしていない部分も多く、原子力エネルギーの活用やインターネットの発達が含まれたり、第二次産業革命とセットで扱われたりする場合があります。
第四次産業革命はAI・IoTなどを活用することで、より高度な知的活動の自動化を実現することです。発達したAIは人間のプログラミング通りに動作するだけでなく、自律的に学習し株価の変動予測や車の運転といった高度な作業まで代行できるようになりました。
第四次産業革命後の世界では従来人間しか出来なかったような生産管理や設計、デザインといった領域までロボットができるようになると言われています。さらにIoT・ビッグデータを活用することで、リアルタイムで取得した顧客のニーズに合わせてオーダーメイドで製品を届けることも可能に。
第四次産業革命についてより詳しくはコチラをご覧ください。
第四次産業革命の後に訪れるであろう第五次産業革命について早くも予測がなされています。
そのポイントは“コンピューター技術とバイオテクノロジーの融合”。例えばタマムシの発色技術を人工的に再現することで、色あせることがないうえ人体や環境に優しい革命的な工業製品の着色を実現する技術が今研究されています。
こうした新時代のバイオテクノロジー技術をスマートセルインダストリーといい、工業のみならず健康・医療や農業などさまざまな分野に革命をもたらすのではないかと期待されています。すでに進められている例で言えばバイオ燃料や遺伝子治療もスマートセルインダストリーに含まれるでしょう。産業界でも、熱や衝撃に強い植物由来の樹脂「デュラビオ」が三菱ケミカル株式会社により開発され、スマートフォンの筐体や自動車の外装衣装部品としてすでに活用されています。
遺伝子の解析・操作により生物をデザインする技術はどんどん手軽になっています。その結果地球規模の問題を解決する第五次産業革命が予期されているということは覚えておいて損はありません。
第一次~第四次まで産業革命の歴史を総覧し、第五次産業革命の可能性に触れました。産業革命は機械が人間の織物を手助けするところから始まり、とうとう人間の仕事のほとんどを肩代わりできるレベルにまで達しつつあります。そのため「人間の仕事がAIに奪われるのではないか?」という不安もささやかれています。
確かに技術の発展により失われた仕事もあります。しかし一方で、産業革命は新しい仕事の需要やビジネスの機会が生まれるチャンスです。準備を怠らなければきっとメリットが得られるはずです。ウイングアークが唱える「全人類上司化計画」も第四次産業革命が進んでいくことで実現する部分も増えてくるはずです。
まずは第四次産業革命にキャッチアップするため、AIやデータ活用を進めていきましょう!
(宮田文机)
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