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生のデータからビジネスを生みだそう!日本経済新聞社主催「学生データコンペディション」meet upレポート

         

ターゲットユーザーにリーチするための販売方法を考える

次は販売方法について。商品やサービスの開発ができたとしても、どうやってユーザーに販売するのか、それを考えなければビジネスとは言えません。実際に製品はいいものなのに、売れないということがあります。これは、販売方法が明確になっていないからです。

「開発の際に、最初にターゲット顧客は設定します。しかし、ターゲットとの接点を作っていない。自社の製品を知ってもらえる機会を作らないのでは、いつまでたっても売れません」(吉田さん)

誰に売るのか。ターゲットを明確にしたら、次は「どうやって売るのか」を考えます。インターネットだけでは弱いと思ったら、リアルに想定顧客とつながれるイベントを開催したり、テレビやラジオなどのマスメディアを利用するという手もあります。一番効果的に、ターゲットユーザーに届くような施策を考えるのも重要です。

ビジネスモデル構築の流れとは?

今回は学生向けのコンペティションということで、実際にビジネスモデルを構築したことがない参加者がほとんどです。そこで吉田さんから、ビジネスモデル構築までのプロセスについて解説がありました。

大きな流れとしては以下の通りです。
(1) アイデアメイキング
(2) ビジネスモデルの定義
(3) ビジネスプラン・プロトタイプの製作
(4) テストマーケティング
(5) 投資判断
(6) 事業化

今回のようなコンテストの場合は、少々異なります。
(1) アイデアメイキング
(2) ビジネスモデルの定義
(3) ビジネスプラン・デモの作成
(4) 資料作成
(5) プレゼン

ビジネスプランまでは一緒ですが、その後にデモ作成やプレゼンなどがあるのが、コンテストです。最初のアイデアメイキングでは、「誰に」「何を」という部分を決定します。アイデアの決定には2通りのやり方が存在します。

「ひとつめが、誰に、何をだけをざっくりと決めて、メンバーでたくさんアイデアを出していき、それぞれを吟味してふるいにかけて残ったものを採用するという方法。もうひとつが、ある程度実際の販売方法や成果まで考えながらアイデアを構築していくという方法です」(吉田さん)

吉田さんは、この2つの方法をいずれも試して検証したそうですが、どちらもそれほど結果は変わらなかったとのこと。工数もそれほど変わらないので、アイデアメイキングの際にはやりやすい方法でやっていけばいいそうです。

アイデアの出し方は「ニーズから」と「シーズから」

アイデアの決定方法に続いては、アイデアの出し方について。これにも2通りの方法があります。それは「ニーズから」と「シーズから」。それぞれについて詳しく解説します。

ニーズからアイデアを出す

ニーズというのは課題のこと。ユーザーが困っていることを解決しようという視点からアイデアを生み出します。

シーズからアイデアを出す

シーズとは「種」という意味。すでに技術などを持っており、それをベースとしてアイデアを生み出す方法です。

吉田さんは、この2つの方法についてはどちらでもよいという考えです。

「この2つの方法、どちらも変わらないというか、人によって得手不得手があるので、どちらとも言えないという感じです。ぜひアイデアを出す際には、複数のアイデアを両方の側面から考えていってほしいと思います。どちらも試してみることで、自分がどちらに向いているかということもわかります」(吉田さん)

特に今回の場合は、あらかじめデータがある状態。アイデア出しの方法については「シーズから」に近くなります。そのときに考えたいのが「データの価値」についてです。

「データだけでは価値はありません。そのデータを時間軸で見たり、年齢別に見たりすると、何かしらの傾向が見えてくることがあります。持っているデータをどのようの情報に変換するか。その情報がユーザーに対してどのような価値を提供できるのか。それを意識してアイデアメイキングをしていただきたいと思います」(吉田さん)

次の段階の「ビジネスモデル」については、冒頭で述べた通り。「何を」「誰に」ということが重要ですが、それ以上に重要なことが「成果」。「誰に」「何を」だけではなく、その先にある「成果」や「マネタイズ」まで意識して作る必要があるということを、繰り返し解説していました。

ビジネスモデル決定までは全員で行う

実際のビジネスの現場では、必ず「アイデアメイキング」は必ず複数人でやります。しかし、そのあとのビジネスモデルの構築は分業してしまうというケースもあるようです。吉田さん曰く、「ビジネスモデルまでは全員でやること」が基本とのこと。

「このビジネスでもルはこういうターゲットユーザーにこういう価値を提供するから成果を生む。そしてこういう販売方法でユーザーの元に届ける。そこまでを全員が理解して合意しておかないと、ダメになります」(吉田さん)

ただし、ビジネスモデルが決まってからは分業を勧めています。デモを作る人、仕様を作る人というように、ビジネスモデル決定以降の作業は分業制にしたほうが、限られた期間で最大の成果が生み出せます。

また、今回のコンペティションのような場合は、メンバー全員の経験値を高めるために、分業をせずにみんなで取り組むのもあり。メンバー全員で相談して決めたほうがいいというアドバイスがありました。

「自分たちのチームがこのコンテストに参加している目的は何なのか、最大の成果を生み出すためなのか、プロセスで学びを得るためなのか。それを定義してから取り組んでいきましょう」(吉田さん)

ビジネスモデルとビジネスプランの違いとは?

ビジネスモデルの構築まで終えたら、次はビジネスプランとなります。直訳をすれば「事業の計画」。一見するとビジネスモデルと同じように感じますが、何が違うのでしょうか。

「ビジネスモデルとビジネスプランの違いは明確です。ビジネスモデルではあえて時間軸や数字を除外して考えます。それらの概念があると、モデル構築が滞ってしまうからです。一方ビジネスプランは、販売計画、開発計画、サポートの計画、販売計画など、事業をする上で必要な計画です」(吉田さん)

そのなかでももっとも重要なのが販売計画。今回のコンテストでも、ビジネスプランに落とし込むときには販売計画は作ったほうがいいと、吉田さんはアドバイスします。

「こういう事業体は全国でどのくらいあるのか、こういう企業はどの地域に何社あるか、どれくらいの規模の会社が何社あるのか。このようなデータは、オープンデータとして公開されています。企業情報だけでなく、何歳以上の高齢者がどの地域にどれだけ住んでいるか、その人たちがどれだけ病院に通っているかという情報も公開されています。このようなデータを使い、どうやってターゲットユーザーに製品を認知させていくか。接触したターゲットユーザーからどうやって受注するか。そこまで考えていきましょう」(吉田さん)

インターネットだけではリーチできないと思ったら実際にユーザーに会うための方法と組み合わせたり、自社だけでは難しいと思ったらほかの企業や自治体と協力体制を敷く。そのとき、市場規模の算出と、それにまつわるコストの試算も行ったほうがいいでしょう。

これらは、すべて1年目でやる必要はありません。現実的なスケジュールを段階的に組んでいくということになります。1年目ではここまで、2年目ではここまでというように計画をし、何年目で損益分岐点が来るのか。そこまでのビジネスプランを立てておくことが重要です。

「そこまでやって実際に事業を始めても、うまくいく事業ばかりでではないというのが現実です。ただ、これらをやらないことには成功しないので、事業に取り組むときは必ずやらなければなりません」(吉田さん)

 
学生たちがデータを駆使してビジネスモデルを構築
デモ作成は誰にどのように見せるかを意識する

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