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あなたの組織がデータを活かせていないワケ ~データ分析STEP5~

         

データから現状把握をするだけで、仕事の成果やアクションにつながる有効な情報を引き出すのは至難の業です。ところが、ここで四苦八苦している人が後を絶ちません。

そこから完全に欠落しているのが「2軸の視点」です。2軸の視点とは、2種類のデータの関係性に着目する考え方のことです。

データによる現状把握はもうたくさん!~データからストーリーを導くには

データから有益な情報を取り出せずに悩んでいる人の多くは、「1種類(1軸)」のデータだけで何とかしようとしています。

なぜなら、1種類のデータで示せることは「結果論」でしかないからです。結果だけを知って終わり、という実務上のゴールは少ないはずです。結果を知ったうえで、改善するためのアクションを合理的に特定したいという目的があるはずです。ここに到達するためには視点を1軸から2軸に広げる必要があるのです。

分かり易い典型例として、因果関係や「アウトプットーインプット」の関係にある2軸を選ぶと活用しやすいでしょう。

例えば、商品毎にネット上の広告の種類数(インプット)とアクセス数(アウトプット)を
2軸で可視化してみます。

画像をクリックすると拡大します。

この例では、月当たりメルマガを多く配信したほうが、アクセス数が増えることが読み取れます。つまり、アクセス数を増やしたいというゴールに対して、「もっとメルマガ配信の頻度を上げる」というアクションがこの分析結果から導かれます。これは、アクセス数やメルマガ数をそれぞれ単独で(つまり1軸で)見ているだけでは、決して到達できない結論です。

ちなみに、この2軸の関係性がどれだけ比例(散布図で可視化した場合には直線的な)関係に近いかを数値化する相関分析と呼ばれる手法があります。

Excelには相関の強さを示す相関係数(1に近いほど、右肩上がりの直線(比例)関係に近い)を求めるCORREL関数があり、これを使うと便利です。

分析手法を習得しても使えない理由

ここまでの説明はさほど難しくありませんよね。

実は、これを自業務で使うとなると、多くの人が悩むのが「では、どの2軸を選ぶと自分にとって有益か」という本質的な疑問です。

私の研修やセミナーでは、「皆さんの業務でゴールとなる指標(アウトプット)と、そのゴールに影響すると思われる指標(インプット)の組み合わせを複数考えてみてください。」というワークショップを行うことがあります。

分析のやり方をいくら理解しても、まずは自分の業務でこれが思考できないと何も始まらない一方、これが思いつかない(考えられない)が故に、結局「分析を始める」というスタートラインに立てない人が続出します。(逆にこれができてしまえば、方法論は小学生でも理解、活用可能なレベルです)

これは分析自体の問題ではなく、分析前の仮説構築、分析デザインの問題なのです。方法論とツールさえ揃えばOK、とはならないデータ分析活用の本質がここにもあります。

皆さんは、自業務の目的達成のためには、どのような2軸を適用する必要があるか直ぐにいくつか思いつきますか?

「正解は何か?」ではなく、仮説として考え得る組み合わせを挙げてみてください。ポイントは、挙げた2つの指標ができるだけ直接結びつくものを選ぶことです。間接的だとその分ノイズが多く入ります。

このあたりのコツは次回もう少し踏み込んでみましょう。


連載:あなたの組織がデータを活かせていないワケ


・STEP1:目的(課題や知りたいこと)は明確か? 
・STEP2:その内容は具体的か? 
・STEP3:結論の良し悪しは「使うデータや分析手法」ではなくアレで決まる!
・STEP4:データから“厚み”のある情報を引き出すには
・STEP5:データからストーリーを導くには  本記事
・STEP6:データにストーリーを語らせる 

 

お話をお伺いしたDataLover:柏木 吉基(カシワギ ヨシキ)

データ&ストーリー LLC代表  http://data-story.net/
データ分析・ロジカルシンキングを武器とした課題解決トレーナー
横浜国立大学非常勤講師 多摩大学大学院客員教授
慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。在職中、欧米両方のビジネススクールにて学び、2003年MBAを取得。Academic Award受賞。2004年日産自動車へ転職。海外マーケティング&セールス部門、ビジネス改革グループマネージャ等を歴任。 グローバル組織で、数々の経営課題の解決、ビジネス改革プロジェクトのパイロットを務める。2014年、プロの実務家、ビジネススキルトレーナーとして独立。データ分析を“活用”するための思考法、分析力を分かり易く伝えた著書や講義には高い定評がある。
著書に 
「それ、根拠あるの?」と言わせないデータ・統計分析ができる本/日本実業出版社
データ競争力を上げる上司、下げる上司/日経BP社

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