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データから“厚み”のある情報を引き出すには

STEP 1STEP2で目的(ゴール)や課題を明確にし、
STEP 3では、データ分析の設計図の基礎となる「分解」について紹介しました。
では分解した指標は、どのように現状把握や比較評価すると良いのでしょうか。

これには、同じデータでもいかに多くの情報を引き出せるかにかかっています。
そして、多くの情報を引き出すためには、データを多面的に表現することが有効です。

この“多面的”とは一体どういうことでしょうか?

次の2つの株の銘柄を比較評価してみましょう。

よくあるのが、このように平均などで、データの大きさを集約(指標化)し、
その大小を比較します。
この例では銘柄BがAよりも高いという評価になりますね。
でもこのデータに入っている情報はこれだけではありません。

例えば、毎日の値の変動(バラつき)度合いを示す標準偏差を加えてみます。

ここからは、銘柄Bのほうが日々の変動(バラつき)がAよりも圧倒的に大きいことが読み取れます。
(両者の値の大きさ(平均値)の違いを加味しても銘柄Bのバラつきのほうが相対的に大きいです)

つまり、「銘柄Bのほうが変動リスクが大きい」という評価ができますね。

これらは平均を見ているだけではわからない情報です。

更に、平均や標準偏差だけでもわからない情報もまだ埋もれています。

この1ヶ月でそれぞれの銘柄の価値はどのように推移していたのか。

これを折れ線グラフで表すとこうなります。

銘柄Bのバラつきが大きいことが視覚的に確認できたことに加え、
「銘柄Aは徐々に値を下げている」ことが確認できました。

このように、単純なデータであっても、そこから情報を引き出す視点の持ち方によって、引き出せる情報量が圧倒的に変わってきます。
これを考えもせずに、いつも使っている平均値だけで大小比較することで本質的な評価ができているのかどうか、一度疑ってみることは重要です。

一方でこれは、データの特徴を確認する、という領域を出ていないことにも知っておくべきでしょう。
あなたがデータを使って実現したいことは、単なる現状把握や比較だけなのでしょうか?もしそうであれば、ここまで十分です。ただ、個々のデータの裏にある情報までも深掘りしたい、ということであれば、次のステップが必要になります。
それはまた次回に。

お話をお伺いしたDataLover:柏木 吉基(カシワギ ヨシキ)

データ&ストーリー LLC代表  http://data-story.net/
データ分析・ロジカルシンキングを武器とした課題解決トレーナー
横浜国立大学非常勤講師 多摩大学大学院客員教授
慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。在職中、欧米両方のビジネススクールにて学び、2003年MBAを取得。Academic Award受賞。2004年日産自動車へ転職。海外マーケティング&セールス部門、ビジネス改革グループマネージャ等を歴任。 グローバル組織で、数々の経営課題の解決、ビジネス改革プロジェクトのパイロットを務める。2014年、プロの実務家、ビジネススキルトレーナーとして独立。データ分析を“活用”するための思考法、分析力を分かり易く伝えた著書や講義には高い定評がある。
著書に 
「それ、根拠あるの?」と言わせないデータ・統計分析ができる本/日本実業出版社
データ競争力を上げる上司、下げる上司/日経BP社