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パイオニアたちが語る、これから必要とされる「セールスイネーブルメント」とは?

         

食べログの「賞賛文化」を導入

Sales Enablement Conference2019#02

株式会社メドレー  山川周氏

2番目に登壇したのは、株式会社メドレー CLINICS事業部の山川周氏。山川氏は2019年8月にメドレーに入社。それ以前は食べログ営業本部で、パートナーの営業支援や、直販組織のマネジメントを担当していました。

メドレーでは、CLINICS(クリニクス)という医療プラットフォーム事業で、オンライン診療やクラウド電子カルテをドクター向けに販売するセクションに在籍。メドレーはセレブリックスとは違い、現場で仕事を覚えていくというスタイルとのこと。

営業同行などをしていくうちに、組織回りやイネーブルメントの観点での気づきがあったという山川氏は、セールスイネーブルメントに着手。その気づきとはどのようなものだったのでしょうか?

「入社してすぐは営業マンと商談同行をしていたのですが、そこから聞こえ感じとれたのは“孤独”というキーワードでした。CLINICSの営業チームは約10人と小規模なのですが、全国の医療機関を営業ターゲットにしています。そのため、出張や外出で社内を不在にすることも多くて、毎日隙間時間も無く、ストイックに商談に取り組んでいる状況でした。データベース上にはセールスのいろいろな指標は見えていますが、それ以上の生っぽい会話が足りないということはすごく感じました。」(山川氏)

Sales Enablement Conference2019#02

それまでのCLINICSは、即戦力を採用して現場に投入していくというスタイル。しかし山川氏は、組織全体で人材育成をする土壌を作ろうと働きかけました。そこで生きたのが、前職の食べログでの経験です。

「食べログでは賞賛する文化がありました。象徴的なものが“デイリーありがとう”というものです。誰々さんのアドバイスが受注につながりました、ありがとうという気持ちを、ノウハウとともに一緒に伝えるということを朝会で行っていました。メドレーでは、マネージャーも現場に出ていたので、週に1回の営業会議の場でも営業チーム全員が揃うことが難しいという状態でした。」(山川氏)

そのような状態で山川氏が行ったことが「ナレッジの共有」です。山川氏入社以前は、1週間に1回、1時間の会議を行っていましたが、ビデオ通話などを使っても全員が集まるかどうかはわからない状態。会議ではマネージャーがメンバーに対して案件の確認をする程度というものでした。

山川氏は、まずこの会議自体を変えました。

「この会議を、1on1を30分、チーム会議を30分に2分割しました。1on1のほうは、案件確認というよりはネクストアクション、どうすれば受注できるかといった思考を深めるような会話や、そこから見えてきた課題に対してどういうトレーニングをしたいと思う? というように、プロセスに向かうコミュニケーションをやるようにしました」(山川氏)

この1on1から生まれた成功体験をチーム会議に共有することで、チーム全体のナレッジとし、イネーブルメントにつなげていったのです。

商談をスムーズに進める「もぐもぐタイム」

ドクターは、基本的にとても忙しい職業です。そのため、「ここで決めなければ」という場面が多く訪れます。そのようなときに絶対受注するための施策として山川氏が導入したのが「もぐもぐタイム」です。

「カーリングの選手が競技中におやつを食べていたのが話題になりましたよね。要はブレストです。だいたい3人から4人、1案件45分で行います。このとき、結構エネルギーを使うのでおやつを食べながらブレストをしようというものです」(山川氏)

もぐもぐタイムの目的は、商談相手の状況をより深く理解することで、絶対的な自信を持って商談に挑むこと。リラックスした雰囲気でのブレスト内で出た、商談相手の情報や営業トークなどのアドバイスが、営業時のアシストとなり、商談がうまくいきやすくなるとのこと。

変化にときめくことでチャレンジができる

山川氏は、会議の仕組みを変えることと同時に、課題解決型の研修の導入も行いました。山川氏曰く「座学×実践」というやり方をとっているとのこと。もともと即戦力の人材が集まっている現場では「知っているからできる」というのが、成功につながる大きな要因のようです。そのために、PSSに基づいた課題解決営業スキルの習得を徹底的に行い、「できている」「やっている」という状態から「無意識でできる」という状態まで引き上げる取り組みを行っています。

また、セールスフォースダッシュボードも公開。受注件数や目標に対する着手見込み、担当者ごとにアポイントのキープ率などのほか、特徴的なのが従来の受注率の数値を、それぞれカテゴライズして算出しているところ。

「営業の評価は、売り上げの金額と件数で評価することが多いのですが、我々は期待されているアポイントメントに対してどれだけ打ち返しているかという見方をしています」(山川氏)

具体的には、これまでの受注率を、対面か非対面か、決裁者なのか非決裁者なのか、インバウンドリソースなのかアウトバウンドリソースなのか、それぞれのカテゴライズの平均受注率を出しています。そのカテゴライズごとの受注率は、メンバーのポテンシャル指数となります。つまりメンバーのカテゴリごとの受注率を明らかにすることで、得意なカテゴリ不得意なカテゴリがわかるのです。

それだけではなく、期待値と実際の達成率のグラフを並べることで、もっとがんばろうという気づきを与えることにもなります。

山川氏にとって、セールスイネーブルメントは「変化にときめくこと」だそう。

「変化にときめくことでチャレンジができて、そのチャレンジから成長や賞賛が生まれるという経験が、僕の中でとても心地よいものでした」(山川氏)

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