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2009年、戦後初となる農地法の改正により、企業やNPOなどの農業参入が緩和され、着実にその数を増やしている。政府は、成長戦略の要に、IoTや人工知能、ビッグデータなどの革新的技術の活用を提唱しているが、それは農業の現場も例外ではなく、「攻めの農業」で「地域で頑張る農業者の所得を増やす」ことを重視。農業者の勘と経験が個人の財産に終わらず、IT化により、若者や女性が効率的に技術を修得できる取り組みを求めている(*)。

「農業」を「産業」として再生するには、新たな市場、流通に対応できるよう、生産者自身の変革も必要だ。「儲かる農業」をめざす農業生産法人有限会社トップリバーは、2000年の設立段階から“儲かる農業”をビジョンに掲げ、実践してきた。市場を介さない外食や中食産業、スーパーマーケットと直接の契約栽培をビジネスの主体とし、利益を生みだせる経営感覚をもった生産者の育成を続けている。高品質の野菜を作る、顧客のニーズに応える、収穫数量や納期を守る……、そのビジネスの「当然」と、自然の「不確実性」を相手に、農業経営の難しさを克服してきたのは、データ活用だった。
2016年の更なる農地法改正により農地所有も緩和され、「農業生産法人」は「農地所有的確法人」と呼ばれるようになった。今後、ますます増える農業商業者の行く道を照らすITによる農業改革が進んでいる。

*:日本経済再生本部「日本再興戦略2016 第4次産業革命に向けて」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/

生産者が経営者の感覚を身に付けるために必要な物

トップリバーは、長野県内に3か所の産地を持ち、その標高差をいかして他品種、高品質な野菜を生産する農業生産法人だ。主な取引先は、外食レストラン、コンビニベンダー、スーパー、生協など。しかし、同社は農産物の生産・販売だけを主とする農業生産法人ではない。“儲かる農業”としての新たなビジネスモデルを構築することで、次世代の農業の担い手となる新規就農者の育成にも積極的に取り組んでいる。そのため社員には、生産者としての農作業技術だけでなくSCM(サプライチェーン・マネジメント:プロセス全体の効率化と最適化を実現するための経営管理手法)を身に付けた農業経営者としての自立が求められる。

「当社で、時期・収量・企画・納期などの契約を順守する栽培、それによって利益を生み出せる経営体質を5〜6年かけて学び、地域の発展を担う農業経営者として独立させることに取り組んでいます」(嶋崎田鶴子専務)
同社では、顧客から求められる品質に応えるため、トレーサビリティーを確保する情報管理、生産計画や実績管理に基づく業務システムを早くから確立。農業技術や物流のノウハウの全社的な均質化を可能にしてきた。

事業の規模拡大に伴いデータ活用の仕組みを見直す

こうした取り組みが評価され、2014年には、同社と地元行政(富士見町)、地元農業(JA信州諏訪)による「富士見みらいプロジェクト」が発足。遊休農地を耕作地として再生し、高原レタスやキャベツの生産する100ヘクタール規模の一大産地を目指し、累計285人を新規雇用の実現、富士見地区にて合計31.7億円の経済波及効果を目指している。このプロジェクト実現の礎となっているのが、同社が培ってきたデータ活用だ。しかし、規模の拡大に伴うシステムの見直しが必要になった。
「皆が慣れ親しんだ既存の業務のやり方を変えることなく、農場長、営業担当、それぞれの従業員の使い勝手の良さを検討しました」(嶋崎専務)。
従来、データの閲覧や分析レポートのアップデートを年毎にベンダーに依頼し、時間とコストをかけていた。そのままの規模拡大では、新たな課題解決や新規の取り組みが必要なプロジェクトには対応できない。IT活用にも、新たな視点が必要だった。誰もが自由にデータの見方、分析の仕方を実用化でき、複数の検索結果を紙の帳票をつき合わせて見比べる従来作業の解消。いずれは、地域の農家もそのシステムを使い、“儲かる農業”の実践的なノウハウを活用できることを目指している。

従業員自らが必要なダッシュボードが作成し、情報を“見える化”することで、精度の高い出荷体制、経営判断の迅速化を実現したトップリバーのソリューション事例はこちら。

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