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楽天が進めるデータ活用。 カギはコラボレーションとオープンイノベーション

         

データの活用が、世界ビジネスで生き残る手段

2005年に設立した楽天技術研究所は、インターネットの未来を予測し、新たなテクノロジーを創出するための研究機関として、世界に5拠点を擁し、100名以上が在籍しています。

コンピューターサイエンスの博士号をもったメンバーが、各自の問題意識や課題に基づいて AIIoT、ドローンなどを研究し、その成果を楽天のビジネスに反映させています。

楽天技術研究所の立ち上げに際しては、さまざまな大学の先生や研究者とディスカッションを行いました。そこで浮かび上がったのは、アカデミックの側では高度な技術を生み出したとしても、実際のビジネスデータに接する機会がなくては机上の空論に終わる可能性がある、またはビジネスの現場がどのような課題意識で取り組んでいるかを理解しにくいといった悩みでした。そこで、データを扱うだけでなく、ビジネスの現場と対話ができる組織を作り、研究者とビジネス側がともに課題をディスカッションし、問題点を共有して、一緒に研究プロジェクトができるスタイルを確立していきました。

現在も研究所はビジネスフィールドと隣接し、70以上ある楽天グループのビジネスと直接会話をしながら研究に取り組んでいます。ビジネス側では、最新のアカデミックな技術や研究について知ることができますし、ビジネスの現場で浮上した課題を研究所に持ち込み、研究メンバーと課題克服の方向性を議論しながら、ビジネスにとって有用になる解決策を導く形でプロジェクトを進めています。

楽天で実際に活用しているAI関連の技術の例として、2億5,000万点の商品マーケティングデータを使って、商品1個単位でどれだけ売れるかを予測するトレンド分析の機能があります。たとえば、ある商品の販売には1年間に売れるシーズンは従来一つの時期しかないと信じられていたのですが、実際に閲覧データ等も分析すると、それ以外の潜在的なシーズンがあることを発見しました。また、イベントをキーワードとした時系列のデータから、直接関係がないと思われるのに、父の日や母の日にリンクした形で売れている商品があることもわかりました。一つ一つの商品であれば人手で分析してもわかりますが、2億5,000万点だとそうはいきません。このような潜在ニーズをAIにより大量に分析しています。このツールは全世界のマーケターやECコンサルタントに活用され、企画立案や、楽天市場に出店している店舗へのコンサルティングに役立っています。

また、フリーマーケットアプリの「ラクマ」というサービスの中にもAIのディープラーニング技術が使われています。出品者が販売したい商品を撮影して、ラクマの「もしコレ!」というカテゴリー推奨機能にかけると、画像を認識して自動的に推奨カテゴリーが信頼度に基づき、最大5つ表示されるため、短時間での出品が可能になります。

最近では金融マーケットにも注目しており、商品の売れ行きからAIで景気動向を予測したところ、内閣府の景気動向指数と0.1%の誤差に収まる結果となりました。開発した技術をベースに、FinTechなど金融サービスの領域や経営支援にもつなげていきたいと考えています。

楽天がビジネスとデータサイエンスをリンクさせてデータ活用を推進する理由は、それこそがグローバル環境の中で生き残るための手段だと確信しているからです。多くのビジネスパーソンにも、あらためてデータ活用の重要性を認識して欲しいと思います。

 
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