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藤本:営業なんかは特に、四半期毎の数字というのはそこに至るまでにしていることの積み重ねなので、数字だけ追いかけると続かないんですよね。

吉田:数字というデータだけを見ることが、クリエイティビティとかコラボレーションのようなものを阻害する、そんな経験はありますか?

森下:チームごとの目標を精密に落とし込むほど、実は本質とはズレていく――、そんなことってありますよね。目標設定って本当に難しくて、チームのコラボレーションがなくなるのが一番の問題だと思っています。

藤本:データはあくまで判断のツールのひとつでしかないのですが、「とにかくこれをやらなければいけない」とひとつのデータに固執してしまうのが一番怖いですよね。

吉田:OKRで一番大事なのは実はOで、Rというのはそれをサポートする短期的な積み上げの結果に過ぎないのですが、データを重視するあまりにRばかり見てOをおろそかにするような危険がありますね。

藤本:そうです。データというのは、今どう動いているのかが分かるバロメーターでしかない。

吉田:毎日の血圧を測るようなイメージですね。

藤本:そうそう。血圧とか体重を毎日測るのは、体重が何キロであるかが大事なのではなくて、その上下の幅や変化を見るのが大事なんです。そこを理解せず、数値を見ることに固執して、それが仕事になっているとすると、おかしいですよね。

データと感性の融合、異なるデータの組み合わせから見えてくるものがある

森下:我々はVGTAを人事評価のためではなく、個人やチームが自律的に動くための指針として運用しているんです。だから、データも“評価”ではなく“可視化”のために使いたいですね。例えば、コードのコミット量やチケットの消化量を見えるようにするとか。あとは、チャットでのコミュニケーションをネットワーク図として可視化すると、「このチームを動かしているのはこの人だ」みたいなことが見えてくるはずなんですよね。

藤本:Googleで同僚だった三浦豊史さんのLaboratikという会社のプロダクト、「A;」が正にそういうものです。Slack上のやり取りを全部クローリングしてコミュニケーションを可視化するんです。いろんな企業でどんどん導入が進んでいるそうで、仕事の成果を出す上でのコミュニケーションの重要性が認識されるようになってきているな、と感じます。

森下:定量的なデータを把握することと、人の感性の部分と、融合させて考えることが重要だと思います。

藤本:データの見方も、特定の数値に固執するのではなく、一見関係のないデータをかけ合わせてみるのが大事なんですよね。例えばGoogleでPeople Analyticsをやっている部署は、全世界の社員に色々なテストに答えさせてデータを集めます。そういうテストの結果を含め、一見関係なさそうな様々なデータを掛け合わせてみているんです。

吉田:そこから何か、新しいファクトが見えてくる?

藤本:「何も見えない」というのもひとつの発見なので、必ずしも何か出てくることを前提にしない方が良いでしょうね。

森下:Googleの「プロジェクト・アリストテレス」はとても有名ですよね。研究の結果、チームの成功にとって重要なのは心理的安全性だった――、という。

藤本:世界中のどのチームを見ても、「優秀な人」とか「優秀なチーム」みたいなものを決定づけるものは「ない」という結論なんですよね。

後編に続く)

(テキスト:やつづかえり PHOTO:Inoue Syuhei)

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