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「KPIの設定が重要だ。」「KPIを達成するにはどうしたらよいのか考えよう。」
など、KPIはマーケティングや営業の現場で最近よく耳にする用語ですが、これは「Key Performance Indicator」の略です。日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。
事業目標を達成するためには、その目標達成に必要となるプロセスを具体化して考える必要があります。例えば、1ヶ月に10万ユーザーが訪れる商品ページで、3000回商品が購入されている場合、ウェブサイトの訪問者の3%が商品を購入していることになります。この商品の売上を50%伸ばしたい、と考えた場合、それを達成するための1つの方法として、単純に訪問者数を50%増やすこと、つまり1ヶ月に15万ユーザーが商品ページを訪れるように促すことが考えられます。
このように、来月は15万ユーザーにこの商品ページを訪れてもらおう、それによって売上の50%アップを達成しよう、と目標となる具体的な日程と数値を決めることを「KPIを設定する」と言います。一般的には明確化された目標を設定することで、チーム内の方向性が定められ、目標達成率が向上できる、と言われています。
目標設定を明確にするためにコツとしては、「SMARTの法則」があります。SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(計測可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限)の頭文字を取った言葉で、目標自体の質を検証する手助けになります。
KPIとセットで聞くことも多いKGIですが、KGIとは「Key Goal Indicator」の略となります。日本語では、「重要目標達成指標」と訳されます。
KPIは業務レベルにおける具体的な目標設定ですが、KGIはより企業全体の戦略的な目標設定です。1つ1つの商品レベルで考えるのではなく、例えば、自社の業界シェアが現状4位とわかっている場合で、来年度中には業界シェアを2位まで伸ばしたい、など企業が今後目指す方向性を決めることを「KGIを設定する」と言います。
KGIはいわば企業全体の方向性の決定です。北を目指すのか、南へ向かうのか、まずは大まかな目的地を決めます。(戦略目標)そこからKPIに落としていくわけですが、これは目的地に達成するために、飛行機で行くのか、新幹線で行くのか、バスで行くのか、はたまた自転車で行くのかを考えて行く、という行為だと言えます。(戦術)
つまり、スケール感でいうと、KGIは数多くのKPIにブレイクダウンされる存在なため、KGI > KPIとなります。ですが、日常的な業務レベルでは、KPIの方が重要視される場合も少なくありません。
KPIの「Key Performance」とは、「主要かつ重要な業績」のことです。KPIを設定することにより現在の業務状態を定量的に把握することが可能になります。KSFとはKey Success Factorの略で重要成功要因という意味です。
KPIは特に、ITIL(Information Technology Infrastructure Library:ITサービスマネジメントにおけるベストプラクティス(成功事例)をまとめた書籍群)に見られるようなナレッジベースのマネジメントプロセスでの業績評価に用いられます。
この分野はサービスレベルなど定性的な情報を扱うのですが、KPIはそれらを分析に利用できる形の定量データで表現します。
KPIはさまざまな分野で適用可能です。例えば、全国の自治体では地方創生のための総合戦略の作成が進められていますが、そのマネジメントにKPIを設定し、PDCAサイクルを回す手法が推奨されています。
ですが、闇雲にKPIやKGIを設定すれば良い、というものではなく、KPIの設定方法や設定数にはコツがあります。
KPIが多すぎる場合、Key となるクライテリア(基準)が絞り込まれていない、つまり何が重要なのかが分かっていない、という可能性が考えられます。このような場合、リソースが分散して結果に結びつきにくくなります。また、KPIが一つしかない場合は、課題分析が不十分なことが多く、そうなるとKPIの達成がKGIの達成に結びつかなくなります。
KPIが戦術レベルの事象を評価する指標であるということは、戦略レベルのKGIより具体的なものになることを意味します。つまり、KPIで扱う事象は特定の課題が与えられた少数のグループにかかわるものであり、かつ評価期間がより短いものになります。
具体的にはKPIは「量」「質」「時間」「コスト」「進捗率」など日々のアクションの結果としての数値が、短期で計測可能な具体的な目標を設定します。さらに、設定されたKPIから、具体的なアクションまで落とし込み、そのアクションの影響をグループ内で常に確認し、作業の進捗状況に反映させる必要があります。その際に有効なのがロジック・ツリーと呼ばれる思考ツールです。このロジック・ツリーを使用することにより、思考の過程を視覚化しながら、抜け漏れなく発想をする助けになります。
KPIの設定で重要なのは、実務上容易にモニタリングできること、モニタリングに手間がかからない仕組み作りをすることです。具体的には、KPIは、グループメンバーの目につきやすい場所に掲示するなど「見える化」して、目標と現状を共有することが有効です。KPIを「見える化」する際には、仕組み化・BIツール利用・自動レポートなど、「見える化」するための労力を出来る限り最小限にし、「見える化」した後のKPIに基づくPDCA・意思決定・アクションにより多くの労力を割くことが望ましいといえます。
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KPIやKGIを達成させるには何かしらの取組みを実践する必要があります。
経営やプロジェクト管理、品質改善などの分野で広く用いられるサイクリカルな手法やフレームワークとしてPDCA (Plan-Do-Check-Act)が良く用いられています。それぞれの頭文字は以下の4つのフェーズのことで、このサイクルを繰り返すことで、組織やプロジェクトの品質やパフォーマンスを持続的に向上させることができます。
・Plan(計画)
目標や方法を定義します。何を達成したいのか、どのようにそれを達成するのかを明確に計画します。
・Do(実行)
計画に基づき行動や実施を行います。この段階では、事前に定められた計画や方針に従って活動を進めます。
・Check(検証・評価)
実行した結果を評価します。計画との差異、目標に対する進捗、期待された成果が得られたかなどを検証します。
・Act(改善・行動)
検証の結果に基づいて、計画の修正や改善点を特定し、次回のサイクルでの計画にフィードバックします。この段階で得られた知見や教訓を元に、次のPlanフェーズでの計画の質を高めることが目的です。
PDCAサイクルを回す中で、KPIとKGIの活用は非常に効果的で、目標設定や評価、改善のための具体的な指標として以下のように使用します。
KPIとKGIをPDCAに利用することで、各フェーズを定量的に実践できるようになるので、目標を見失ってしまいにくくなりますし、軌道修正も行いやすくなります。
KPI、KGIを達成させたいといった逆の観点においても、PDCAを導入するのとしないのとでは、目に見えて結果が大きく変わり、当然、目標到達に向かってディレクションするPDCAを実践した方が組織のKPI、KGI到達を後押しします。
KPIとKGIは設定したからといって、必ずしも目標が達成できるわけではありませんし、効果が得られるというわけでもなく、効果的にこれらの指標を設定・利用するためには、注意を必要とします。
KPIとKGIを設定するにあたり、それぞれ、共通で注意すべき内容を以下に記載します。
・KPI設定の注意
・KGI設定の注意
・KPIとKGIの設定の際の共通の注意点
KPIとKGIの設定においては、それぞれの違いを理解することが重要です。KPIは過程を測定するものであり、KGIは結果や最終的な成果を測定するものです。両者は連携して使用されることが多いので、そのバランスを取ることが重要です。
KPIとKGIはビジネスのゴールや戦略によってカスタマイズされるため、同じ業界内でも異なる場合があります。以下は、KPIとKGIの設定の具体例を紹介します。
・KGI
年間売上目標の達成
新製品のローンチ数
・KPI
月間の生産量
廃棄率
製品毎の売上
顧客のクレーム件数
・KGI
年間の総収益
顧客満足度の向上
・KPI
一日あたりの顧客数
顧客一人当たりの平均支出額
レビューサイトの平均スコア
月間のリピート顧客数
・KGI
新製品のリリース日
アクティブユーザー数の増加
・KPI
月ごとのバグ報告数
ダウンロード数
ユーザーサポートのリクエスト数
新機能の実装速度
・KGI
年間の総売上目標
新店舗のオープン数
・KPI
一店舗あたりの日々の売上
在庫のターンオーバー率
顧客のカート放棄率
オンライン販売の割合
これらの例を参考に、自社のビジネスのニーズやゴールに合わせてKPIとKGIは設定することになります。
続いて、よくKPIの設定と同じく、目標管理で取り挙げられるOKRについてみてみましょう。
OKRとは「Objective and Key Result」の略で、「目標と主な結果」と訳されます。
企業内、チームのマネジメントの仕組みでも良く話題になるグーグルでも採用されている手法です。特長はシンプルでブレにくいこと。だからこそ、成果を出すことのできる目標管理だと言われています。
前述した通り、KPIは、KGIをブレイクダウンすることで具体化させていきます。具体的なアクションはこれにより明確になりますが、「そもそもの目標・目的はなんだったのか?」を見失ってしまうことが良く問題視されます。これは例えば、教会を作るためにレンガを積んでいたはずが、いつのまにかレンガを積む作業そのものが目的となってしまうようなケースです。
このOKRは、「目標」とその目標を達成するために必要な「アクション」をシンプルに表現できるからこそ、「目標」と「アクション」の関係性が見失われづらいと言えます。
グーグルなどの企業で採用されたことにより広く知られるようになった手法ですが、ポイントは、ゴールが定量化・数値化できるものでなくても良い、そして頑張れば届きそうなところよりも高いところにゴールを設定する、というところです。100%の努力をして届くであろうところを60点から70点くらいのところに設定することで、さらにその先を目指していく、という長期的な気持ちが込められたより野心的な手法だと言えます。
ちなみに、OKRという手法は、1970年代にインテル社が採用したことが始まりだと言われており、米国のソーシャルゲーム会社Zynga、Twitter、Linkedinでも採用されています。日本では、Zynga社出身の山田進太郎氏が担うメルカリでも採用されています。
KPI、KGI、およびOKR(Objectives and Key Results)は、ビジネスの目標管理とパフォーマンス評価に最適なフレームワークですが、それぞれ異なる背景や目的を持つため、活用シーンも異なってきます。
ビジネスを成功に導くには、これらを適材適所で使い分けた活用が必要不可欠になります。
以下にそれぞれの活用シーンについて、いくつか紹介します。
これらのフレームワークは、状況やニーズに応じて組み合わせて使用することもできます。例えば、組織の戦略的目標を設定するためのKGI、その達成のための具体的なアクションやパフォーマンスを測定するKPI、そして短期的な目標や成果を明確にするためのOKRを連携させることで、より効果的な目標管理を実現することができます。
重要なのは、BIツールなど手法やフレームワークが正しい、進んでいるということでもなく、また完璧な手法もありません。手法・フレームワークを理解した上で、適正な場面で、適正な手法を活用する柔軟な意識を持つことでしょう。
KPIとKGIの関係性を簡単にまとめるのであれば、100点満点で100点を取ることがKGIであり、100点を取るために1点ずつを着実に累積させていくことがKPI、と考えることができます。いずれにせよ、最も重要なのは、何を100点とするのか、の目標設定であり、その手段や過程をわかりやすくするための一つの目安としてKPIやKGI、そしてOKRといった手法が最近は使われることが多い、ということです。
今回は「何が違う?KPI、KGI、そしてOKR 目標達成のための設定のコツとは?」についてご紹介しました。
データを活かした目標達成については、データ分析を武器にした課題解決家 柏木吉基氏による連載「あなたの組織がデータを活かせていないワケ ~データ分析STEP1~」でもご紹介しておりますので、興味のある方は是非ご覧になってください。
(データのじかん編集部)
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