目次:[連載]BIのトリセツ
BIのトリセツその1 : 「BIツール」の使えるかどうかのを判断するための基礎知識
BIのトリセツその2 : 「BIツール」で何が変わる? BIツールで解決できる2つの課題!
BIのトリセツその3 : BIツールは何に使えるの?業務別ケーススタディ
BIのトリセツその4 : BIツールの選択に迷ったら確認すべき5つの機能性
BIのトリセツその5 : 階層別BIツール活用方法
BIのトリセツその6 : 実際に何ができる? どこまでできる? 事例から学ぶBIツール!
BIのトリセツその7 : あなたの会社に合ったBIツールはどれ? 選定ポイントを解説!
BIのトリセツその8 : 「しくじり」から学ぶBIツール導入! <本記事>
どのような企業でも、理想的な成果を求めてBIツールを導入します。
しかし中には
「現場の社員がツールの意義を理解できなかった」
「難しくて使いこなせなかった」
「コストに見合わない」
……などの失敗事例も耳にします。これらの原因はどこにあるのでしょうか。
ここでは、具体的に失敗事例を紹介しましょう。
中堅の商社A社の失敗事例。二代目社長が音頭を取って、話題となっているセルフサービスBIの導入を進めました。現場社員が数字に強くなり、データを活用できるようになることで、競争力を強化できると考えたのです。
IT部門もプロジェクトを発足して検討を繰り返し、社長が望むツールを選定し、導入にこぎつけることができました。新システムのポイントは、社員に必要なデータを画面に表示するダッシュボードです。販売担当や仕入担当、マネージャ、経営層、それぞれに最適とされるデータがビジュアル表示されます。
BIツール活用のために、マニュアルも整備し、講習会も部門ごとに繰り返しました。当初は物珍しさもあって、利用する人もいましたが、社長が理想とする分析までには、なかなか至りません。
それどころか「管理が厳しくなった」「毎朝ノルマを見せつけられていやになった」という声さえ聞かれるようになりました。実際に利用する現場社員にBIツールの意義が伝わっていませんでした。
技術力に優れていると業界内でも定評のある製造会社B社の失敗事例です。社員のほとんどは理系であり、ITリテラシーは当然高いと期待されていました。その期待度が高すぎたのかもしれません。導入したBIツールを使いこなすことが困難だったのです。
中には、これは使い物にならないと判断し、利用を勝手に中止した部門もありました。
使いこなせない現象は、IT部門にも見られました。現場から寄せられたリクエストに簡単に応えることができなかったのです。かといって、構築したSIベンダーに依頼するほどの予算はありません。
現場でも使いこなすことができず、IT部門でも持て余し、次第にBIツールは見放されてしまいました。
BIツールの中には、統計学の専門用語を理解しないと使いこなせない高度な製品もあります。これはITのリテラシーとは異なるものです。自社のレベルを見誤らないようにしましょう。
全国的な活動を展開している公共団体C社の失敗事例です。IT部門が主体となって「会員サービスの充実」を目標に、多機能なことで有名なBIツールを導入しました。高価なツールとしても知られていたため、C社では検討を重ね、5年で投資額を回収できると判断して導入を進めました。
同社では帳票の数が膨大で、その数は300種類にも及んでおり、その作成にかかる社員の人件費も膨大な額になっていました。
確かに、BIツールを導入して帳票作成の自動化は進みましたが、期待した現場でのデータ活用はほとんど見られません。そもそも、現場ではデータ活用の意識さえありませんでした。
これではずいぶんと高価な帳票作成ツールに過ぎず、結果、コストパフォーマンスの悪いシステム投資となってしまいました。BIツールの導入の目的と必要性の周知や、導入後の社内活用成功事例の横展開などに対する取り組みが欠けていました。
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