目次:[連載]BIのトリセツ
BIのトリセツその1 : 「BIツール」を導入する価値があるかどうかのを判断するための基礎知識 <本記事>
BIのトリセツその2 : 「BIツール」で何が変わる? BIツールで解決できる2つの課題!
BIのトリセツその3 : BIツールは何に使えるの?業務別ケーススタディ
BIのトリセツその4 : BIツールの選択に迷ったら確認すべき5つの機能性
BIのトリセツその5 : 階層別BIツール活用方法
BIのトリセツその6 : 実際に何ができる? どこまでできる? 事例から学ぶBIツール!
BIのトリセツその7 : あなたの会社に合ったBIツールはどれ? 選定ポイントを解説!
BIのトリセツその8 : 「しくじり」から学ぶBIツール導入!
BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、データを収集し、集計・分析、見える化することで、意思決定の精度とスピードの向上そして業務の効率化・改善はもちろん、ビジネス変革をも可能にするツールです。業界用語的にはBI、またはBIツールと呼ばれます。
活用次第で大きなメリットが得られますが、その一方でハードルが高いと不安に感じている人が多いのも事実です。この「トリセツ」ではそんな方々のために、わかりやすくBIツールを解説し、ビジネスデータの新たな活用方法を提案します。
その1回目として、まずはBIツールの基礎知識を学びましょう。BIの進化の歴史とデータ活用の可能性を紹介します。
BIツールは1980年代に生まれ、すでに何度かのブームを迎えています。概念自体はかなり古くから存在します。
1980年代は、多くの企業でコンピュータシステムが導入された時期でした。手書きで作成していた書類や計算書をパソコンで行うことによる業務の効率化や正確化、経理や販売管理などのデスクワークをスピードアップすることが主な目的とされていました。
しかし、システムによってデジタル化されたデータの可能性に一部の人たちは着眼しました。彼らは、「情報」の重要性を提唱し、「人・モノ・金」に続く第4の資源として注目したのです。「情報化社会」という言葉も生まれました。
一方で、業務がシステム化されることにより、モノやお金の動きが見えにくくなったという側面もあります。実際の商品やお金が見えず、データ上だけで処理されるようになったためで、この時期以降、データを見て、ビジネスを把握することが求められるようになりました。
ですが、当時のBIは一般的とはほど遠い存在でした。当時はシステムの構築費用がとてつもなく高く、80年代にBIを導入できたのは、一部の大企業だけだったのです。
90年代に入って、このデータ活用の動きは活発化しました。大量のパソコンが企業に導入され、多くの人がデータを当たり前のように活用するようになりました。最前線のビジネス現場で情報を活用することから「情報武装」という言葉も生まれ、BIが一気に普及するようになります。
2000年代になって、企業に新たなシステム構築の動きが見られるようになります。それまで個々に構築されていた業務システムの統合です。BIはデータを収集し分析するものですが、システムが分散していてはデータの確認や収集に時間がかかります。ERP(Enterprise Resource Planning)の概念が広がり、大企業が統合システムを構築するようになりました。やがて多くの企業でERPが導入され、データの活用がさらに進められることになります。
人間には把握しづらいデータの固まりをグラフ化し、一目見ただけで理解できるような状態にする「見える化」という言葉も使われるようになりました。
このBIが急速に高度化するのがIoTの時代です。インターネットは2000年代には一般にも普及し、SNSやeコマース、クラウドなどの普及による「ビッグデータ」の時代、そしてIoTでさらに高度化・細分化されてきました。
データを利用するのは人間だけでした。そのため収集できる情報量も限定的でした。
ところが、2010年代以降、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)が登場し、機械同士がインターネットを介して、直接データを交換・収集し合うようになります。たとえば、工場のラインの状況を機械が自動的に収集し、工程の進捗、温度、音、振動などのデータを蓄積します。膨大なデータを人間が分析するのは困難で、「ビッグデータ」をはじめとする大量データを分析するためのBIツールが求められるようになりました。
ビッグデータの分析は高度な専門知識が必要で、この専門家を「データサイエンティスト」と呼びます。
これと並行して、BIのすそ野を広げ、専門知識を必要とせず誰でも使える「セルフサービスBI」が提唱されるようになりました。導入も活用も簡単で、経営者や最前線の現場の人も使うことができます。
現在は高度と平易、両極のBIが存在しています。
BIでは、データをどのように活用するのでしょうか。
データは日々生まれ、蓄積されています。これらのデータを見て、把握して、分析、そして判断することが、ビジネスでは不可欠となっています。データをもとに考えることで、今後の展開を「予測」できます。因果関係の分析や、シミュレーションをすることもできます。これらはBIの基本です。
たとえば、商品管理の担当者は、季節ごとの商品の売り上げを分析し、次のシーズンのキャンペーンを立案します。地域によって売れ筋に違いがあると、その原因を分析して、新しい商品開発のヒントとすることができます。
また、販売管理の担当者は、エリアごとの販売実績を分析して、どこに注力するかを考えます。新たな店舗をどこに出店するか、その規模や販売スタイルを検討することもできます。
会議の席で必要となるレポート作成もBIが得意とするところです。経営者、マネージャ、現場担当者に必要なデータを見える化する「ダッシュボード」の機能もあります。企画担当者にとってはプランニングの有力なツールとなります。また「OLAP(オンライン分析処理)」機能によって、データベースに蓄積された大量のデータを多角的に集計・分析できます。
ビジネス環境の変化とともにBIは進化してきました。今後、ビジネスサイクルはさらに短期化され、企業は、より素早い意思決定を求められるようになります。また、「働き方改革」の推進に伴い、業務の改善も必要になってくるでしょう。そこで威力を発揮するのがBIです。
次回のBIのトリセツでは、『「BIツール」で何が変わる? BIツールで解決できる2つの課題!』を解説します。
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